「注文の多い料理店」で、なぜ主人公たちはしわくちゃになった顔がもとに戻らなかったのだろう。関連性がみえない。

狩猟を娯楽として楽しむ、紳士然とした主人公たちの顔は、自然を征服したと思い込んでいる文明の象徴です。それがしわくちゃになっているのは、野生によってそうした文明のあり方が否定されたことを暗示しています。命だけは助かり、文化的生活に復帰した主人公たちが、しかし恐怖にひきつった顔のままであるのは、我々の日常生活の虚妄性を告発していることにほかならないでしょう。