現在の日本人の里山的な自然に対する考え方が間違っているのは分かりますが、縄文時代の開発まで批判的な考えを持ってしまったら、きりがないのではないですか。

講義をよく聞いていただきたいのですが、ぼくは列島における開発の展開を否定しているわけではありません。縄文時代の件についても、縄文を共生のユートピアのように位置づけるのは間違っていると説明しただけです。かつての環境考古学者のなかには、縄文のありかたを過大評価して、「日本は縄文的思想に戻らなければならない」といった発言をしてきた人もいるので、あえて批判しているわけです。縄文への評価は、逆に弥生否定論、農耕原罪論の根拠にもなっているので、問題が大きいのです。