なぜこの、東学党農民殲滅の愚行は、日韓において、慰安婦のように問題にならないのでしょうか? / この事実は、韓国の一般市民にどの程度知られているのでしょうか?

韓国では民主化の動きと連動し、1994年の100周年までには大きく研究が進展、史料も集成・刊行され、多くの研究書も出版されて、従来マイナス視されることの多かった東学党の再評価が進んだようです。その結果、2004 年に「東学農民革命参加者の名誉回復に関する特別法」が制定、翌年には東学農民革命記念館が開館、そののち公益財団「東学農民革命記念財団」が設立されました。しかしそれ以降は、マスコミはじめ一般社会の関心も急速に冷め、学界においても「一定の成果に達した」と関心が衰えてしまいました。よって、北海道大学での頭蓋骨発見後に進められた第二次蜂起の殲滅戦研究は、未だ韓国でも充分一般の知るところとなっていないようです。ただし、今回資料に取り上げた「陣中日誌」などについては、2012年にKBSによって「取材ファイル ― 1:30000 の秘密」と題したドキュメンタリーが放送され、注目を集めました。この事実を、両国が本当の意味で〈パブリック〉なものにしうるかどうかは、実は今後の努力にかかっているといえるかもしれません。