2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧
誰かのリアクションにもありましたが、やはり卜占が科学のひとつであったからです。実学的な知識や技術では対処できない問題が発生したときに、卜占や祭祀を通じて困難を打開しようとした。卜占は、古代人や古代国家が、厳しい自然環境、社会情況のなかで生…
殷代に用いられたカメはほとんど20㎝程度のクサガメやハナガメで、東アジアの池沼や湿地などに普通に生息しているものです。マレーシア産の大亀が1例だけみつかっていますが、それらを除けばそれほど貴重な「素材」ではなかったでしょう。甲骨のなかには「…
アニミズムが宗教的観念の基本をなしている世界では、動物の本体はそれに宿っている精霊であり、皮や肉体は、その精霊がまとっている衣服のようなものに過ぎないという考え方があります。よって、信仰する動物が捕獲や食肉の対象となることはまったく不思議…
アニミズム的世界においては、動物の本体は、その肉身に宿っている精霊です。ゆえに亀卜とは、その精霊に働きかけて託宣を得る(声を聞く)ものなのです。『史記』亀策列伝でも、卜官は、亀に「玉霊夫子」と呼びかけています。これは、中国の少数民族に残る…
いや、分かりませんよ。歴代内閣を動かしてきた占い師が、新宿や銀座にいるかも…。まあそれはそれとして、大部分は後付けの解釈の問題でしょう。あのときこういうことがあったけど、これは占いに出ていたことだったんだ…などなど。祟りの災因論的な機能もそ…
日本人は縄文期から連綿と肉食を続けていましたが、欧米のそれに比べれば、食生活全体に占める割合もずっと低いものです(いわゆる「ご馳走」の類に入るでしょう)。時代的にも変遷がありますので、体型の変化には大きく影響しなかったのでしょう。
雁や鴨の類は、縄文時代から江戸時代まで一貫して狩猟され、食用に供されてきました。室町時代成立の『三十二番職人歌合絵』では、雁、鴨などを売る鳥売りの姿が描かれていますが、かかる商売は古代には未だ成立していなかったと思われます。ちなみにこれら…
現在に繋がる馬は古墳時代、乗馬の風習とともに半島や大陸からもたらされたものと考えられています。当初から家畜として輸入、王権や地方勢力の牧などで飼育され、軍事・交通を主な目的に使用されました。また、供犠のために殺される事例や、役に立たなくな…
主に農作業や交通・運輸、軍事などに使役されていました。古代の律令国家段階から、列島各地に牧(牧場)が設けられて馬・牛の飼育・繁殖を担い、中央にも飼育・訓練のための機関が置かれていました。兵部省兵馬司、左右馬寮(主馬寮)・内厩寮、東宮主馬署…
ペットという概念をどう理解するかですが、まず、人間のパートナーとして最も早く「ペット」化されたのは犬でしょう。いわゆるイエイヌの類は、オオカミを家畜化することによって誕生しました。多くは狩猟犬として、または番犬として、人間との共存が始まっ…
400字詰原稿用紙換算で8枚程度と考えています。
実は、『もののけ姫』については、この講義の時間に何度も何度もお話ししてきたのです。機会があればまた解説したいと思いますが、大体の意見は、拙稿「環境問題と日本文化」(方法論懇話会編『日本史の脱領域』森話社、2003年)にまとめてあります。図書館…
国家の施す歴史教育の場合、国民国家の規定する「一国史」を脱却することは難しいでしょう。また、近代までの歴史学は、容易にナショナルなものへ包摂されてしまっていましたので、むしろ「一国史」を教化する機能を果たしていました。しかし、現代歴史学は…
人間の認識、視角というものは、例えば五感のうちの「視覚」にしてみても、個々人で大きな相違があります。もちろん、人間の身体的能力としては大きな相違はありませんが、私たちは現実をそのままに捉えて脳内に映像化しているのではなく、その過程で様々な…
究極的にはそうなのですが、まず主観的/客観的の二項対立で物事を捉えようとすることが間違っています。完全な客観なるものがありえないように、完全な主観なるものもありえません。歴史学の考察結果も、過去の何らかの事象と必ず結びついており、一定の手…