無縁の世界とは、公権力のまったく及ばない所といった意味でしょうか。とすると、中世イタリアやドイツの都市の自由とは、また違ったものなのですか。

当時の人々を日常的に規制していた主従関係、土地を介した隷属関係などから、切断された空間、もしくは人という意味ですね。寺院や神社に付随した場だけではなく、例えば浮浪の芸能者、遊女などもさして公界衆などという場合もありました。また例えば、織田信長の設定した「楽市楽座」も、市場を支配していた日常的関係を取り払った場という意味で、無縁の一形態といえるでしょう。多く宗教的背景を持って展開していた公界が、権力の介入を受けて潰されてゆき、ついには権力によって設置されるものになってしまう。その転換に重要な意味があると思われます。