堅果が食料として見出された契機は何だったのだろう?
難しいですねえ。これは想像でしかありませんが、やはり落葉広葉樹林や照葉樹林のなかで、動物たちが堅果類を食べているのを目撃したのが、主な契機でしょう。しかし、生の状態で食べるのは堅いし、美味しくないし、消化できずに腹を壊してしまう場合もある。長時間水にさらしたものが食べやすくなる、熱湯で煮たものが軟らかくなるといった認識は、やはり偶然の発見としてありうることだったと思います(水場に落ちていた堅果を口にしてみた、肉や魚に用いていた火を通す調理法を堅果類にも試してみた、などなど)。縄文時代はとにかく、春夏秋冬のサイクルのなかで環境の提供してくれるものは何でも食べる、網羅的生存戦略が採られていました。森林で捕食することができるものは、ありとあらゆる種類の動物・植物・昆虫などを、手当たり次第、何から何まで試していったのではないでしょうか。