マルクス主義を経て再評価された実証主義、のあり方がよく理解できません。
要するに、マルクス主義の理論、法則を重視する枠組みに批判が高まり、普遍的な抽象的な法則性よりも個別具体的なものごとの解明、すなわち実証が再評価されるに至った、ということです。個々の地域の特性を解明するためには、実証的な成果を積み重ねてゆく必要があり、法則性についてはそのあと初めて議論ができるのだ、という見方になってゆきました。それが高じて、ぼくらが学生として研究を始める頃には、「若い研究者は理論について議論してはならない。まずは個別実証を積み重ねることが先決で、理論を考えるのは功なり名を遂げて以降だ」という雰囲気が強くありました。どのような学問も、理論・方法と個別実証が有機的に関連して初めて健全に機能する、のですがね。