2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧
山自体が神聖視され禁足地となっている場合、入り口に神社が設けられ一般の出入りを阻んでいることがあります。入山できるのは神職など限られた人々、もしくは限られた日時のみ。こうした場合も、山神に入山の許可を乞う場所として設置されたとみるべきでし…
後のケルト的な色彩を持つヨーロッパの基層的宗教文化(ドルイド教)は、オークを神聖視して、人間を含めた供犠を行っていたことが分かっています。神聖な樹木を伐る必要が生じたときにも、その種の祭儀を行ったのでしょう。ちなみに、今年の初めに東京国立…
H君の報告は、注釈書の訓み方に引きずられてしまいすぎでしたね。まずは底本の情報を忠実に再現することが必要です。そのうえで、兼右のここが間違っている、ということであれば自分の見方を明確にして訂正する。そのプロセスを省略してしまうと、単に注釈…
I君の発表は、簡にして要を得たいい報告だったと思います。翻刻もよく出来ていました。右訓・左訓のどちらを取るかについても、それなりの見識があってよかった。ただし、用語解説などでは、まだ古代史用語に熟達していない面が少しみられました。別に取り…
とにかく、レジュメの量が膨大でした。授業でもいいましたが、そのことには敬意を表します。内容的にも、舒明即位をめぐる『書紀』の記述の整理、これまでの研究史がまとめられていて、後に報告をする人には資するところが大きかったと思います。問題はプレ…
恐らくは、早くから首皇子へ嫁がせるために育てられているので、キサキとして振る舞うに相応しい教育は施されていたでしょう。『楽毅論』と『杜家』のみがそれを知るよすがですが、内容的なことまで意味を持つとするのは穿ちすぎかも知れません。ただし前者…
これは書風を練習するための書物であり、また書簡の用例集でもあるわけですが、後者としては中国の地方の下級官人層、小地主層の生活世界を反映したものなので、光明皇后が書写し練習するのはやや不自然な気もします。『万葉集』は、和歌を手紙がわりに用い…
恐らくは仲麻呂が起草に関わっている詔のなかで、橘奈良麻呂一派がおとしめられたり、兄豊成が批判されたりということはありました。奈良麻呂の場合には、そのクーデターの抑止を代々の先帝や神仏のお陰としていますから、逆にそうした宗教的権威をもって、…
まったく対照的な感想の付加された質問が来ましたね。古代の大王家・天皇家に入り、妃になるということは、現代のそれとはやや感覚が異なるようです。中国王朝の后妃も出身氏族の名前で呼ばれていますし、日本でもそうした〈家との繋がり〉が強かった(その…
昔話のモチーフには「見るなの禁」と呼ばれるものがあって、主人公の目的の達成と釣り合うタブーなんですね。それを破ると、これまでの努力の積み重ねが台無しになってしまう。ギリシア神話で、オルフェウスが冥界から助け出した妻エウリュディケーを振り向…
魔法使い、呪術師というものは、本来神霊的存在と契約を結んで彼らを〈使う〉ことができるものです。陰陽師の使う式神だって、〈神〉なのですから。
大事な点ですね。『もののけ』の方は宮崎の意図を正確に復原しようと努めましたが、『千尋』の後半はかなり評論的で、「私ならこう読む」という展開になってしまっているかも知れません。しかし、当然インタビューなどは参考にしていますので、かなり宮崎駿…
ぼくもよく分かりませんが、『ハウル』のように、勢いで物語を終わらせようとする宮崎駿らしさ?が出ている気がします。とにかく、千尋の内なる力の発現ですべてを済ませて、表面的にはハッピーエンドに。ま、その強引な展開がある分だけ、背景にある哀切さ…
あの世界では、労働=世界に奉仕することが主体性の代替物になりうる、ということではないでしょうか。湯屋で働くことを、アイデンティティーの代用にしている。おそらく、そういう人間は現実にも多いことでしょう。「北條勝貴」がいかなる人間かより、「上…
異界訪問譚によく見受けられる、異界と現実とでは時間の進み方が違うことを意味しているのでしょう。おまけに、彼らには異界での記憶がありませんから、たった数分が数日、数週間になっていて驚くことでしょう。そこまでみせないのは、「物語は続いてゆくの…
「さみしい」というセリフは、カオナシの過度の喪失感と依存性から発せられるのでしょうね。他の乗客たちは確かにさみしいでしょうが、それを埋めるために何かを求めよう、というアクティブささえも失ってしまっている様子です。生の猥雑さより、死の安らか…
「銀河鉄道の夜」、海の上走ってましたっけ。ま、天の川(ミルキー・ウェイ)を走っているという意味では、ずっと水のなかではありますが。水と関係ある要素としては、タイタニック号に乗っていた姉弟と家庭教師風の青年が、氷の海からふいに列車のなかへ出…
終着駅を冥界とすれば……ということですね。これはもう想像の領域ですが、アニミズム世界では神霊はあらゆる世界を移動できるので、例えば仏教・バラモン教の輪廻の概念のように、現実界との重なりのなかに蘇生してくる神霊があったとは考えられないでしょう…
哲学的ですねえ。確か、最近の『ワンピース』もそんな展開でしたね。物語が〈影〉を題材にすることが多いのは、それが人間の歴史のなかで、変わらぬ興味の対象であり続けたからでしょう。ところでご存知のように、人類最初の絵画は洞窟絵画が多いわけですが…
大炊王は舎人親王の息子で天武天皇の孫ではありましたが、〈王〉であって〈親王〉ではなく、皇位継承者が草壁皇子の直系子孫へ限定されてゆくなか、彼が天皇になるためには、仲麻呂のような権力者に近づくしかなかったのでしょう。天皇はともかく、政治の中…
歴史学的にも考古学的にもそういった存在は確認できませんが、例えば祭祀の際に唱えられる祭文のようなもの、舞踊歌、神話語りなどは存在したでしょう。しかし、そういったものは奈良時代的感覚における文学、すなわち漢字で書かれた、きちんとした形式をも…
史料8に、「不孝・不恭...の者があれば、陸奥国桃生・出羽国雄勝に配置して...」とありますが、実際に配置された後はどのような処置がとられるのでしょう。また、なぜ上のような場所が選ばれたのでしょうか。
蝦夷を仮想敵とした辺境警備に就かせ、王権を守護するなかで、儒教的倫理を身体化させるのが目的だったでしょう。中国でも、遊牧民との緩衝地帯に罪人を就かせたり、反体制的な人物を左遷したりといった措置が採用されています。
(書きかけ)